日本国内向け広告がインド・パキスタン・バングラデシュ・インドネシア・フィリピン・ベトナム等の国々でクリックされている問題。
インプ数をXで稼ぐインプレゾンビが話題となって久しいが、最近は広告クリックゾンビが世間を騒がせつつあるようだ。

典型的な不正クリックの出所
インド
Google、詐欺の急増に対処するため、51億件の広告を削除 ― インドだけで2億4700万件
https://www.business-standard.com/
バングラデシュ
バングラデシュ は「主要クリックファーム(クリック工場)所在地」
https://cheq.ai/blog/everything-about-click-farms/
パキスタン
不正広告の 90 % がパキスタン・ベトナム発
https://www.wired.com/story/malicious-ads-in-search-results-are-driving-new-generations-of-scams/?utm_source=chatgpt.com
「インド・バングラデシュ・パキスタン等からの不審クリック」は、特異な偶然ではなく 世界的に多発している 不正クリックによる 無効なトラフィック IVT(Invalid Traffic)の一部 である。
なぜ南アジアが “温床” になりやすいのか?
- 低コストの人件費
スマホ+プリペイド SIM を大量に並べた人力クリックファームが成立しやすい(時給数十円でも利益が出る)cheq.ai - 回線・SIM の入手が容易
プリペイド SIM の量産で IP やデバイス ID をひたすらローテーション可能 - 広告単価差
日本や欧米向けの広告の方が CPC が高いため、「高単価国の広告を別地域から踏む」だけで十分な利ザヤが出る 。平たく言えばアドセンスの高報酬を狙っているのである。 - 仲介マーケットの存在
Fiverr・Telegram などで “1000 click = $5” といったサービスが売買されている。
興味深いのは、「人力」でクリック されている事実 。実際にはSamsung等のスマホからのタップが多いのだが、GA4からエンゲージメント率70%、エンゲージメント時間2分といったデータが確認されている。広告をタップ後、直帰を避けて数ページ閲覧、スクロール等のイベントを発生させてGoogleの不正検知システムを潜り抜けようとする意図が感じられるし、Googleシグナルを引き寄せようとしているようにも見える。TELタップCVまで行っているケースもあった。
Google広告の 不正検知システム とは?
Googleは機械学習と統計モデルを活用して、不正クリックや無効なインプレッションを自動的に検出・除外している。対象となるのは以下のような挙動。
- 異常に高いクリック頻度
- 一定IPからの繰り返しクリック
- 人間らしくないマウスやブラウザの挙動(bot行動)
- 自社広告を自分でクリックして収益を得ようとする行為
このように検出されたクリックや挙動は広告主への課金対象から除外される。しかし、人力で手広くやって来る広告クリックゾンビに対抗できるのだろうか?
この点ではGoogleを信じるしかない。 無効なトラフィック IVT(Invalid Traffic) として課金されないようにあらゆる手段を講じてほしい。
他の問題としては、このようなトラフィックは有意な解析の障害になる。早めの対策が必要だろう。
私たちができる具体的な対策 (Google 広告)
除外国指定はもはや必須と言ってよい。
日本国内のみの地域指定+除外国指定
インド・パキスタン・バングラデシュ等を除外指定する。
方法:
地域指定の検索オプションで当該国を選択。除外し保存。
関心ベース配信 (Interest)から 所在地のみ へ指定を変える
「東京に興味があるユーザー」がバングラデシュ在住でも広告が表示されるケースを外す。
方法:
地域の指定を 「所在地のみ」 に切替。保存。
※切替えても状況が変わらないケースがある。
新たなる予兆
最近は、インドネシア、フィリピンといった東南アジアの国々、またアフリカのナイジェリアからIVTと思われる流入が観測されている。今後も様々な途上国からの不正クリックが広がると予想している。