本記事ではウェブマーケ初心者に向けてBigQueryをご説明します。
近年、デジタル技術の進歩に伴い、ビジネスやマーケティングの手法は急速に変化しています。特にウェブマーケティングの領域では、アクセス解析や広告運用におけるデータの活用が欠かせなくなっています。
データ活用方法として、Googleが提供しているBigQueryは非常に有力な選択肢となり得ます。本記事では、初心者向けにウェブマーケティングとBigQueryの概要、具体的な利用シーン、そして始めるためのポイントついて解説します。
そもそもウェブマーケティングとは?
ウェブマーケティングとは、ウェブサイトやSNS、メールなどのオンラインチャネルを用いて行われるマーケティング活動の総称です。
従来の広告媒体(テレビ・雑誌・新聞など)とは異なり、データを収集・分析しやすいという特徴があります。例えば、GA4を利用すれば、総ユーザーや滞在時間、ページの表示回数といった基本的な数字を簡単に測定できます。また、SNSからの流入や、キーイベント(成果)に至る経路などを追跡することも可能です。
こうしたデータを活用すると、ユーザーの行動や興味を可視化し、より効果的なプロモーション戦略を立案できます。例えば、特定のキーワードからの流入が多い場合、そのキーワードを軸にしてコンテンツを拡充したり、関連キーワードを設定した検索連動型広告を配信したりするなどの施策が考えられます。
また、ペルソナ設計においても、アクセス解析データを組み合わせることで、リアルな顧客像に基づいた戦略を構築しやすくなります。
BigQueryの概要
BigQueryはGoogle Cloud Platform (GCP)が提供するデータウェアハウス(DWH)で、大規模なデータセット( 分析や処理のために収集・整理されたデータの集合体 )を超高速に処理できるのが最大の特徴です。
通常、大量のデータを扱う場合は、高性能なサーバーを用意したり、専門的なデータベースのチューニングが必要になったりします。しかしBigQueryを使うと、そのようなサーバーの設定、管理をGoogleに任せられるため、ユーザーはSQL(Structured Query Language)を使ったクエリの作成と分析に集中することが可能です。
また、従量課金制なので、必要な分だけコストを支払う仕組みになっています。
ウェブマーケティングでは、アクセス解析や広告プラットフォームから取得したログデータが膨大になることが多いですが、これらのデータをBigQueryに取り込み、SQLクエリで分析できれば、より深いインサイト(マーケティング活動に使えるヒント)を得られるようになります。例えば、特定のユーザーがどのような経路で商品購入に至ったのかを追跡したり、どのキャンペーンからの流入がもっとも利益に貢献しているのかを抽出したりすることが可能です。
BigQueryの活用事例
実際に、ウェブマーケティングの分析にBigQueryを活用するケースは多く存在します。
GA4との連携
GA4ではローデータ(加工されていないデータ)を直接BigQueryにエクスポートできます。これにより、GA4のインターフェース上だけでは追いきれない詳細なイベントデータの分析や、複雑なセグメント比較などが可能になります。また、カスタムレポートを自由に作成し、より高度な可視化や機械学習に活用するなど、応用の幅が広がります。
広告プラットフォームとの統合
Google広告やFacebook広告、X広告など、複数の広告プラットフォームを利用している場合、それぞれの管理画面やレポートを都度確認するのは手間がかかります。BigQueryをデータのハブとして利用し、各広告プラットフォームのデータを集約することで、一元的にアクセス解析が可能になります。これにより、広告費用対効果(ROAS)やコンバージョン率などを包括的に評価できるようになります。
※Google広告以外だとDatabeatやTROCCOといったETLを一旦介して使うことが多いです。
CRMや顧客データの活用
オンラインショップや会員制サービスを運営している企業であれば、顧客データ(年齢、住所、購買履歴など)が蓄積されています。これをBigQueryに取り込むことで、アクセス解析データや広告データと突合し、より具体的な顧客行動の分析ができます。たとえば、「初回購入からリピート購入までの平均期間」や「優良顧客の特徴」などを導き出すことで、LTV(顧客生涯価値)を高める施策を検討しやすくなります。
始めるためのポイント
BigQueryを活用するためには、まずGCPのアカウントを作成し、プロジェクトを用意する必要があります。加えて、以下の点を押さえておくとスムーズです。
SQLの基礎を学ぶ
BigQueryでデータを分析する際は、基本的にSQLを用いてクエリを実行します。初心者にとっては敷居が高いように見えるかもしれませんが、基本的なSELECT文やWHERE句、JOIN、GROUP BYといった構文を理解できれば、さまざまな分析を実行できます。SQLの学習はオンラインのチュートリアルや公式ドキュメントなどで独学もしやすいので、一度触れてみることをおすすめします。
GCPやBigQueryを学ぶ
GCPでは「プロジェクト」と「IAM」で誰が何にアクセスできるかを理解しましょう。BigQueryでは「データセット」の中に「テーブル」があり、そのテーブルにスキーマ(列定義)があるイメージをつかみましょう。
※下記イメージはGA4に関わる「 テーブル 」と「 スキーマ 」。テーブルにはイベント名(EVENT_NAME)、USER_PSEUDO_ID等が格納されている。スキーマではイベント名の定義(文字列型・NULLABLE)、 USER_PSEUDO_ID の定義(文字列型・NULLABLE)等が確認できる。


ツールや連携サービスを活用する
データをBigQueryに集める際、ETLや専用のコネクタを利用すると、自動化が可能になり管理の負担も減らせます。Google Cloud DataflowやDatabeat、TROCCO等のツールを使えば、広告プラットフォームやCRMからデータを定期的に取り込み、BigQueryに保存し、レポートを更新するといった一連の流れを自動化できます。
まとめ
ウェブマーケティングとBigQueryは非常に相性が良く、データを活用した施策を検討する際には欠かせない組み合わせとなりつつあります。初心者の方はまず、「どのデータを集めてどのように分析したいのか」を明確にし、それに合わせてBigQueryの利用を検討してみてください。SQLの習得やデータ ETL の導入はややハードルが高いかもしれませんが、適切に取り組むことで、より精度の高いマーケティング施策を打ち立てることができます。データに基づいたマーケティング戦略は、ビジネスの成長スピードを格段に上げる可能性を秘めています。ぜひ、一歩ずつ挑戦してみてください。もしサポートが必要でしたらアジアスターズにお問い合わせください。