GA4(Googleアナリティクス4)の探索レポートを使う際に、
「セグメントとフィルター、どちらを使えばいいのか?」と迷う方は多いと思います。
両者はどちらもデータを絞り込む機能ですが、目的と精度の違いを理解しておくことが重要です。

結論:まずセグメント、次にフィルターを使うのがベスト

先に結論を述べると、GA4の探索分析では
**「セグメント → フィルター」**の順に使うのが最も効果的です。
その理由を3つの観点から説明します。

理由1:セグメントはスコープ(範囲)が明確

GA4のセグメントは「イベント単位」「セッション単位」「ユーザー単位」といったスコープが明示されています。
一方、フィルターは見た目上スコープが分かりにくく、どの範囲でデータを絞っているのかが判断しづらいという弱点があります。

実際に検証してみると、セグメントとフィルターで似た数値が出るケースもありますが、
Google公式ドキュメントではフィルターの内部メカニズムが明確に記載されていないため、
現時点ではセグメントの方が信頼性が高いといえます。

理由②:フィルターは「セグメント後の詳細分析」に最適

「セグメントを信頼するならフィルターは不要なのか?」
そうではありません。フィルターはセグメント後の詳細分析に役立ちます。

たとえば、

  • セグメント:デバイスカテゴリ「PCユーザー」
  • フィルター:地域(例:東京 or 大阪 or 神奈川)

このように設定すれば、グラフは1つで済み、地域別比較も容易です。
一方、セグメントを複数(PC+地域別など)設定すると、グラフが複数生成されてしまいます。
分析の効率を考えると、「大枠はセグメント」「詳細はフィルター」という使い分けが有効です。

セグメント PCユーザー
地域 東京・大阪・神奈川
PCユーザー地域別

理由③:セグメントではシーケンス分析が可能

GA4のセグメントでは「シーケンス条件」を設定できます。
これにより、ユーザーの行動パターンを時系列で指定できます。

たとえば、「(Aページ→Bページ→Cページ)3回ページビューを発生させたユーザー」

という条件を設定可能です。
このようにユーザー行動の流れを分析できるのはセグメントの強みです。

注意点:大文字・小文字の扱いに違いあり

セグメントとフィルターでは、文字列の扱いに違いがあります。

  • セグメント:「含む」設定では大文字小文字を区別しない
     例:lifestyle で設定すると Lifestyle も含まれる
  • フィルター:「含む」設定では大文字小文字を区別する
     例:lifestyle では Lifestyle は除外される

同じ結果を得たい場合は、**正規表現(例:(?i)lifestyle)**で指定するのが安全です。

セグメント (「lifestyle」で設定すると「Lifestyle」もカウント対象に)

セグメント設定
セグメント結果

フィルタは「含む」の設定では大文字小文字を区別するので、 lifestyle と設定すると、 Lifestyleはカウントされない。なので、ここでは 正規表現で両方の文字lifestyle の l と Lifestyle の L を指定している。

フィルタ
フィルタ結果

まとめ:GA4探索の基本戦略

機能主な用途メリット
セグメントデータ全体の大枠分析スコープが明確・シーケンス条件が設定可能
フィルターセグメント後の詳細分析細かい条件でグラフを1つにまとめやすい

GA4の探索分析では、「まずセグメントで範囲を絞り、必要に応じてフィルターで深堀りする」構成が最もおすすめです。
この使い分けを理解しておくことで、より正確かつ効率的なGA4分析が実現できます。